都合のいい女
その3の続き 喜久子が不意に腕組みをしてきたことで体温が上がった気がする。いや、お酒せいだろうか。お酒を飲んでいるという言い訳を自分に言い聞かせて自意識を保つ努力をしていたのだろう。組まれた腕は喜久子によってロックされていく。二人の間には風…
その2から続き 喜久子は物事の決断をするまでが早いし、決めたら周りが見えなくなるタイプで、頑固さを持ちあせている。仕事では曲ったことが大嫌いで、歯に衣着せぬものいいが気持ちいい、そんな彼女が訳あり彼氏と3年も続いてるのだから男女の惚れた腫れた…
その1の続き 「彼氏が出張で、予定していたデートがリスケ。なんかモヤモヤするよね。」その言葉は夏から秋への変化を告げる風のような、喜怒哀楽で言うならば哀が言葉の周りを包み込んでいる。そこには彼女の名前にもある喜久子(キクコ)の喜はどこにもな…
夜の繁華街で、「いいお店ありますよ?」と声をかけてくるお兄さんをスルーしつつ、どこのお店に入るのかをぶらぶらと歩きながら物色していると、「裏地が薄いからちょうどいいんだよねー。っていうかこれ以上寒くなると着れないからさ。」彼女は今の季節に…